業務内容
当事務所のスタンス
1.会計処理の判断について
税理士は納税者から上がった情報をもとに正確な元帳、申告書を作成しようとします。
しかし、経費処理の判断ひとつ取っても、税理士の判断が一律かといえばそうではなく、個々の税理士の判断にも濃淡があります。
私の場合、長年の税務調査の経験から、税法に照らして妥当かどうかを検討するのはもちろんですが、税務調査に指摘されないかどうかも含めて判断します。
また、税務署側も常に画一的な処理を求めるわけではありません。そのあたりの匙加減も念頭に置いて判断します。
2.プロの目でチェックします
社長(事業主)が事業用の普通預金に現金を100万円入金したとします。
それを見た税理士は、
普通預金 100万円 / 現金 100万円
と、仕訳します。
この仕訳で間違いはありません。
しかし、社長(事業主)は現金で受領した売上代金を事業用の普通預金に入金したのだから、当然、税理士は売上として経理してくれたものと思い込んでいたとしたら。
正しい申告をしていたと考えていた社長(事業主)でしたが、結果は100万円の申告漏れ。
長年調査をしてきますと、このようなことがピンときたりします。なにかおかしいな?と直感します。
3.給与か外注か
給与か外注か、判断に迷うことが多いと思います。
プロの中でも、この区別が曖昧な人がいます。
そして、給与で源泉徴収する場合の課税方法が曖昧なプロもいます。
月額甲蘭課税なのか、月額乙蘭課税なのか、日額丙蘭課税なのか、全く課税しないのか。
給与か、外注か、これは消費税にも影響してきます。
税理士の正しい判断が求められます。
4.納税者との意思疎通
私のところに変わられた社長(事業主)とお話をしますと、前の税理士とコミュニケーションしたりアドバイスを受けたことがほとんどない、あるいは、試算表、元帳、申告書等の説明もなければ見せてもらったこともないといわれることがあります。
これではいけないと思います。社長(事業主)とのコミュニケーション、アドバイスは必要であり重要な業務であると認識しています。
5.現金には色がついていない
消耗品を現金で購入しました。仕訳は、
消耗品費1,000円/現金1,000円
となります。
一見、この仕訳は正しいように思えます。
事業用の資金から支払ったのであればこの仕訳で正しいです。
しかし、社長(事業主)のポケットから支払(立替)われたのであれば、
正しい仕訳は、
消耗品費1,000円/社長借入金(事業主借)1,000円
となります。
原資はどこか。プロでもよく間違えます。
税務調査では、よく「人の動き」「金の動き」、「物の動き」といいますが、「金の動き」を見誤ると、このように間違った仕訳をしてしまいます。
6.現金出納帳の重要性
現金出納帳は会社の姿を映す「鏡」です。
税務調査で最初に見る帳簿は現金出納帳でした。
現金出納帳の記帳状況でこの会社が「硬い」のか「やわらかい」のかを占いました。
なにをもって「硬い」のか「やわらかい」のか。
帳簿残と現金有高が一致すれば「硬い」のかもしれませんが、一致することに作為性を感じることがあり、逆に、一致しない会社に正直さを感じたりもします。
現金出納帳はお金の動きをそのまま記帳するものですから、現金有高と一致しなければなりません。
帳簿残高と現金有高が一致しない場合はよくあります。
しかし、日々記帳しておれば不一致の原因を解明することができます。
現金は預金と違ってどこにも跡が残らない泡のようなものですから、誤りを見逃すと取り返しがつきません。
現金出納帳を正しく記帳していれば、上記2「プロの目でチェックします」で説明した誤りや、上記5「現金には色がついていない」のような誤りは起こりません。
7.決算対応の提案
会社にあった決算対応を提案します。
例えば、よく出張する社長の場合、「旅費規程」を作成して旅費規程に基づいた日当を支給すれば、その分旅費として経費計上でき、かつ、社長の財布にもやさしいです。
個人事業主の場合、自宅と事業所が分かれていても、経費にできる自宅部分も結構あります。マイカーを兼用した場合、維持費の按分では結構見落とす経費があります。
保険を使った決算対応の提案をします。保険を使った退職金や福利厚生などを提案いたします。
8.消費税対策
消費税が10%となった今、消費税の納税額は、法人税や所得税の納税額より多額になってきます。
が、社長(事業主)のなかには危機感を持っていない人が多いようです。
そして、簡易課税にすべきか。一般課税にすべきか。
近い将来多額な投資をする場合、簡易課税では投資額とは関係なく「みなし仕入れ率」で課税仕入額を計算するため、投資に見合う課税仕入の控除をすることができません。
また、給与の占める割合が多い会社の場合、対策をどうしたらいいのか。
将来を見据えて、簡易課税が有利なのか一般課税が有利なのか、アドバイスをいたします。
9.裁決事例や判例等からみた税務調査
①無申告事案について
一度も申告をしていない会社が調査を受けた場合、原則、無申告加算税が賦課されますが、意図的で悪質であると認定されたときは無申告加算税に代えて、重加算税が賦課されます。
その無申告の理由として、二重帳簿の作成、帳簿書類の破棄、隠匿等の「隠ぺい又は仮装」行為と同視できる行為があった場合は重加算税を賦課されてもやむを得ません。
しかし、無申告でも、書類を破棄することなく、調査の求めに応じて協力的に書類を提示していたため、積極的な隠ぺい、仮装行為は存在しないとして重加算税が取り消された事例があります。
無申告はけしからん、意図的だと思っても、ただ申告をしていないだけで、そこに「隠ぺい又は仮装」行為がなければ重加算税の賦課は困難です。
時に、税務署は「隠ぺい又は仮装」の要件を具備していなくても重加算税を賦課してくるときがあります。
どうしても重加算税に納得いかない方はご連絡ください。積極的にサポートいたします。
②重加算税の賦課について
税務職員は単なる「売上漏れ」を「売上除外」、単なる「二重経費」を「架空経費」として重加算税を賦課しようとする傾向にあります。
しかし、重加算税を賦課するためには意図的な「隠ぺい又は仮装」の事実がなければ賦課できません。
たまたま、現金で受領した売上を帳簿に載せ忘れた、あるいは、クレジットカードから経費を記帳し、領収書からも記帳したことによって、二重計上になってしまった。
これは単なる「ミス」であって、「意図的」ではありません。
このようなケースでも重加算税に該当するとして、「質問応答書」を強要してくる税務職員もいます。
また、いくつかの裁決事例では、かなり「意図的」と疑われるような事案でも、「意図的」を証明できる証拠(これを、「外部からもうかがい得る特段の行動」といいます。)が不十分なため、重加算税が取り消された事案が多くあります。
納税者の権利をOB税理士が守ります。
待ったなしの老後と相続
数字から見る老後・相続問題
1. 寿命(2,016年)
男 平均寿命 80.98歳 健康寿命 72.14歳 差 8.84歳
女 平均寿命 87.14歳 健康寿命 74.79歳 差 12.35歳
2. 相続トラブル
遺産総額 5,000万円以下 76%
兄弟姉妹のトラブル 70%
不動産の争い 85%
3. 認知症
2020年 65歳以上 600万人
2025年 65歳以上 700万人(高齢者の5人に1人)
この統計データから読み取れることは、
①健康寿命は意外と短い
②相続 トラブルは一部の金持ちに限った問題でなく誰もある
③相続争いは両親が亡くなった後の二次相続で多い
④分割しにくい不動産の争いが多い
⑤認知症は他人ごとでない
何もしないことのリスク
健康寿命…男性が72.14歳、女性が74.79歳
認知症…高齢者の5人に1人
このデータから読み取れることは、「元気なうちに」老後と相続に向き合う必要があるということです。
病気や認知症になると自分の身回りことができなくなってきます。
特に、認知症なると家族伝えたいこと、家族に遺したいものができないまま相続を迎えることなります。
また、認知症になると遺言書を作成することはできなくなります。もし、作成しても無効扱いになります。
自分の預金を引き出すことができなくなります。
一切の法律行為ができなくなります。
こうしたいと思っていた老後生活や家族のためにいろいろ考えていた相続は、認知症によって何もできなくなってしまいます。
相続トラブル
①遺産総額 5,000万円以下 76%
②兄弟姉妹のトラブル 70%
③不動産の争い 85%
「争族争い」は、①の遺産総額が5,000万円以下76%が示すとおり、一部の金持ちの問題ではありません。
「争族争い」の多い時期は②のとおり両親も亡くなって子どもだけになった時です。
子どもだけになった相続で、分けにくい不動産をめぐっての「争族争い」が最も多い結果となっています。
自分のこどもは「争族争い」をしないと考えていますか。
そもそも相続自体考えたくないと思っていませんか。
相続財産が少ないから対策の必要はないと考えていませんか。
しかし、子供たちは実家の土地一つをめぐって「争族争い」をします。
親から受けた贈与(特別受益)の差で「争族争い」をします。
自分が 「元気なうちに」 相続と向き合いませんか。
まずは「財産の棚卸」と家族の対話から始めましょう
財産の棚卸(エンディグノート)
棚卸は財産だけでなく、次のようなことも書き出しましょう。
・介護の希望
・病名の告知希望
・延命希望
・葬儀の希望
・お墓の希望
棚卸しをする財産は、預貯金、有価証券、生命保険、不動産等ですが、デジタル資産(ネット銀行、ネット証券、電子マネー)もあれば拾い出しましょう。 IDやパスワードも情報漏洩に注意しつつ拾い出ましょう。
家族との対話
子供たちと老後の話しをましょう
病気になった場合、介護が必要になった場合、認知症になった場合…
親の世話はどうするのか、介護施設に入居するのか、認知症になった場合どうするのか、介護費用はどうするのか、空き家になった実家の管理はどうするのか。
特に、認知症なると自分の希望(葬儀、お墓等)を伝えることができなくなりますし、「争族争い」の対策もできなくなります。
生活のために預金を下ろすこともできなくなります。
一切の法律行為ができなくなります。
相続は単純に法定相続で分割すればそれで済む問題ではありません。
うちは実家と預貯金しかないから「争族争い」とは無関係だ考えていませんか。
子供たちは実家一つを取り合って「争族争い」をします。
実家を1/2、1/3に分割することはできません。
実家を「共有」にしても解決にはなりません。
「共有」は「争族争い」を引き延ばしているだけです。
また、特別受益でもめます。特別受益をめぐる争いとは、
①国立大学出身の長男と私立大学出身の次男で、親援助(授業料等)の差でもめます
②家族のいる長男と独身の次男では結婚費用や孫への贈与をもらった長男とそうでない次男でもめます
③介護の世話や費用を負担した長男とそうでない別居の次男でもめます
「争族争い」の芽を摘みましょう
親を交えて子供たち同士のわだかまりや生前贈与の多寡について率直な意見交換をしましょう。
そうした家族の対話を通じて、親は子供たちが将来「争族争い」にならないような「生前贈与」や「遺産分割」等を考えましょう。
相続税がかかるような財産の多い人については、「生前贈与対策」、「不動産対策」、「遺産分割対策」、「一次、二次相続対策」も考えていきましょう。
そして、財産の多寡や相続税の申告の有無に関係なく、「争族争い」の芽を摘み取るためにはすべての親が遺言書を書くのが望ましいです。
遺言書の作成
遺言書は遺産争いを防止するためにすべての人が残しておくのが望ましいです。そして、紛失、盗難、偽造、変造の心配がない公正証書による遺言で、第三者の遺言執行人を立てるのが望ましいです。
特に遺言書が必要なケースは、
①子供がいない夫婦:兄弟姉妹も相続人になってしまうため
②認知症の相続人がいる:認知症では預金の解約も不動産登記もできない
③特定の相続人や世話になった人に財産を残してやりたい
④相続人同士の仲が悪い
⑤遺産分割しにくい不動産は遺言で分割を工夫する
遺言書の作成は遺留分(注1)への配慮など注意すべきことがありますので、専門家の助言をもらったほうが望ましいです。
特別受益
特別受益:相続人の中に、被相続人から遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合に、その相続人の受けた贈与等の利益のことをいいます。
このような贈与の額は、相続開始の時に相続財産の額と合算したうえで各相続人の相続分を決めなければなりません。
①親と同居している長男が親の預金を勝手に引き出した場合、別居の次男からすれば当然特別受益を主張することができます。
②親の介護費用を親の預金から引き出す分については特別受益にはなりませんが、メモ等の証拠がないと次男から特別受益を主張されて無用な争いを招く恐れがあります。
③相続人でない長男の嫁が無償で義親の療養看護をした場合、特別寄与料として相続人に請求することができますが、解決のハードルが高いため遺言で嫁に遺贈してやるのがベターです。
生命保険の活用
生命保険の特徴
①受取人固有の財産であり遺産分割協議の対象外ですので遺留分の侵害対象にならない
②渡したい人(受取人)を指定することができる
③契約者、被保険者、受取人のうち、契約者と受取人を変更することができる
④死亡保険金は500万円×法定相続人数まで相続税が非課税になるため税負担軽減効果は大きい
生命保険の活用効果
①税負担軽減効果
②争族防止効果
③遺贈効果
④納税資金・生活資金の確保
①税負担軽減効果(相続税の対象者)
法定相続人が妻と子供3人の場合:500万円×4人=2000万円まで非課税枠あり
預金2000万円⇒ 終身保険2000万円に変えるだけで課税財産が2000万円減る(効果大きいです)
②争族防止効果
相続人:長男と次男 相続財産:実家の居宅3000万円、預金2000万円
法定相続分:それぞれ2500万円[(3000万円+2000万円)×1/2]
実家3000万円を長男が相続すると次男の相続分が2000万円になり500万円不足する
長男を受取人とする生命保険金が500万円以上あれば、次男に500万円渡して解決することができる。
(これを代償交付金(注2)という)
③遺贈効果
遺産を残してあげたい人を受取人として指定できるため遺言と同様の効果があります。
④納税資金・生活資金の確保
生命保険金は受取人が占有できる財産であり、遺産分割の対象外です。請求すればすぐ振り込まれ
るため納税資金・生活資金に充当できます。
認知症問題
①認知症になると遺言書を書くことはできなくなりますし、たとえ遺言書を書いたとしても法律的に無効扱いになります。
②自分の預金も引き出すことが出来なくなります。
③相続人に認知症の母がいる場合、相続預金の解約、生命保険金の受取り、不動産の相続登記等ができません。
④遺産分割協議書に認知症の母の署名・押印を代筆した場合、有印私文書偽造等の犯罪になります。
親族間で後日紛争になる可能性があり、無効はいつでも主張可能です。
認知症対策
①認知症が発症しだしたら財産の棚卸や遺言書の作成を急ぐべきです。
銀行に知られると自分の預金も引き出せなくなり、老後資金に困ります。
また、なんら準備なく相続を迎えますと遺された家族間で無用な争族争いが起きる可能性があります。
②元気なうちに親名義の預金を代表の子供名義の預金にするなどの対策をするとよいです。
③相続人の母が認知症の場合、生命保険金を受取るには後見人を付けないと受領できないため、「指定代理請求人」を指定するか、受取人を変更するとよいです。
④認知症の人に成年後見人を立てれば法律行為を代行してもらうことはできますが、制約が多いことや高額な報酬支払が死亡するまで続きます。
⑤認知症が重症化するまでに遺言書を書くことがベストです。
手遅れの場合は成年後見人を立てるか、家族がサポートしていくことになり、さまざまな制約を受けることになります。
生前贈与
①相続税がかかる人にとっては生前贈与は節税効果がある方法です。
年間110万円以下の贈与であれば贈与税は課税されませんので、子供や孫に贈与するとよいでしょう。但し、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されます。
②長男に実家や会社を相続させたいものの次男にやれる相応の相続財産がない場合、次男に生前贈与して遺留分の放棄をしてもらう。但し、遺留分の放棄=相続の放棄ではないため次男から相続の主張をされないように遺言書で長男に相続させる旨を書いて押さえておく、という方法があります。
③お爺さんが孫の大学の学費を負担したとしても、「扶養義務者間の贈与(注3)」扱いになり贈与税は非課税です。但し、直接学費に充てられるのであればいいのですが、学費を現預金で孫に渡すと贈与税が課税されますので注意が必要です。
④孫などの未成年者への贈与は、孫が贈与の事実を知らなくても親権者(親)が受諾・管理すれば名義預金(注4)認定されることはなく贈与は成立します。
⑤贈与契約は双方の合意で成立しますが、贈与のたびに贈与契約書を作成しましょう。
不動産対策
相続税がかかる人にとっての対策です。不動産対策はさまざまありますが一部をご紹介します。
①賃貸アパートを建てる
賃貸アパートを建てると土地は公示価額の8割程度、建物は建築価額の5~6割程度に評価額が下がります。また、その土地は「小規模宅地等の特例」(注5)といって200㎡まで50%の評価減を受けることが出来ます。但し、入居率が悪ければ対策の意味はありません。
②駐車場をつくる
①と同様「小規模宅地の特例」を適用して200㎡まで50%の評価減を受けることが出来ます。
但し、死亡前3年以内の事業は不適用とかアスファルト舗装等の構築物であること等の要件があります。
③底地の整理
底地の相続税評価額は時価より高いため、借地人に買い取ってもらうか、逆に建物を買い取るか整理をするとよいです。
一次相続・二次相続対策(注6)
①父親が亡くなって次の母親が亡くなるまで18年あるというデータがあります。
そこで、一次相続では相続税対策や法定相続分による遺産分割を前面に出すのではなく、18年間の母親の生活設計を優先させた対策を考えるべきです。
②一次相続では配偶者の税額軽減特例(注7)が使えるため、配偶者が相続税を支払うケースはほとんどありませんが、二次相続では配偶者の税額軽減特例が使えません。
③一次・二次とも子供たちに多額の相続税がかかる場合、子供を受取人とする生命保険に加入するか、受取人を子供に変更するとよいです。
④または、契約者:子供、被保険者:親、受取人:子供の契約形態で、親が保険料を贈与(負担)すれば、相続財産を減らすことができ、子供の納税資金の確保もできます。
⑤一次で配偶者が小規模宅地の特例を使うのではなく、一次・二次とも子供が小規模宅地の特例を使うといった対策もあります。
このような対策は専門的ですので税理士等に相談してください。
(注1)遺留分
相続人が認められている相続遺産の最低限の取り分。配偶者と子供の遺留分は法定相続分の1/2、直系尊属は法定相続分の1/3
(注2)代償交付金
不動産など分割が困難である相続財産を相続人の1人が本来の相続分を超えて相続し、その代わりに相続人固有の財産を他の相続人に提供する方法を代償分割といい、その交付金を代償交付金という。
(注3)扶養義務者間の贈与
扶養義務者(父母や祖父母)から贈与を受けた生活費又は教育費で通常必要と認められるものについては贈与税の課税対象になりません。
(注4)名義預金
子供や孫などの名義の預金になっているものの、実質の所有者は被相続人である預金のこと。
(注5)小規模宅地等の特例
被相続人等の居住用・事業用宅地等がある場合に、居住や事業の継続のため、一定の要件を満たす場合は、一定割合を減額するもの。(土地のみが対象で、家屋は対象外)
例えば、居住用宅地は330㎡まで80%減額されます。
(注6)一次・二次相続
一次は、夫婦どちらか1人が亡くなった時の相続、二次は、夫婦のもう1人も亡くなったときの相続。
(注7)配偶者の税額軽減の特例被相続人の配偶者の課税価格が1億6000万円または法定相続分相当額のいずれか多い方までであれば、配偶者に相続税はかかりません。
宗教法人の税務
ご挨拶
宗教法人(寺及び神社)の数は全国で18万強あるといわれています。
これはコンビニ、薬局、歯医者の数より圧倒的に多い数です。
私は国税OB税理士であり、税務署勤務時代は数多くの宗教法人の調査を経験してきました。宗教法人の住職や宮司の多くは兼業をしており、宗教法人を専業としている割合が少ないのが実態です。平日はサラリーマンの仕事をし、休日は宗教法人の仕事と、休む間もなく働いているのが宗教法人の住職であり宮司です。
また、宗教法人を取り巻く環境も厳しいものがあります。
檀家の減少、家族葬や直葬の増加、法事の省略傾向、宗教ビジネスの拡大等で収入の伸び悩みがあります。住職や宮司の高齢化や宗教業務に専念するためにも、煩わしい帳簿の記帳、決算書・申告書等の作成、年末調整事務から手を放したいのが本音だと思います。私には、宗教法人の長年の調査で得た豊富なノウハウがあります。住職や宮司が本業に専念できるよう経理面、税務面からバックアップさせていただきます。
<宗教法人の記帳>
宗教法人は、お布施や玉串料を受け取っても株式会社のように請求書、領収書を発行することはありません。また、お布施や玉串料に法人税が課税されることもありません。しかし、そのお布施や玉串料から住職や家族の給与が拠出されていますので、税務署は源泉所得税の課税漏れがないか収入漏れを徹底的に調査します。したがって、正確な現金出納帳の記帳や現金管理が求められます。FAQに記帳事務の注意点をまとめましたので参考にしてください。
<宗教法人の源泉徴収事務>
勤務形態によって源泉徴収の方法は「月額甲欄」。「月額乙欄」、「日額丙欄」と適用すべき税額表が異なります。兼業している住職や宮司、あるいはアルバイトを雇用している場合には注意が必要です。
また、土地の取得や本堂等を建築した場合には建築設計士、土地家屋調査士、司法書士、不動産鑑定士等の報酬の支払いが発生しますが、報酬の源泉徴収漏れには注意が必要です。FAQに注意点をまとめましたので参考にしてください。
<宗教法人への寄付>
最近、菩提寺へ相続財産等の寄付が増えてきています。寄付する財産によっては注意しなければならない税務関係が檀家、菩提寺双方にあります。注意点をFAQにまとめましたので参考にしてください。
<宗教法人のみなし寄付金>
宗教法人が収益事業を営むのは、その本来の事業を行うために必要な資金を稼得するためであって、収益事業から生ずる余剰金は、その本来の事業の資金に充てられることを予定し、収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出する金額については、これをその収益事業に係る寄付金の額とみなすこととしています。
したがって、余剰金全額に対して法人税が課税されるのではなく寄付金の損金算入限度額部分は課税されない仕組みになっています。
<宗教法人の経済的利益>
庫裏や社務所の家賃が無償であるのは周知のことと思いますが、水道光熱費や自動車の個人使用や子弟の大学費用の負担には注意が必要です。FAQに注意点をまとめましたので参考にしてください。
<宗教法人の税務調査>
庫裏や社務所が宗教法人の本堂や本殿と同じ境内地にあることもあり、経費についてはプライベート部分の混在が指摘されます。収入については、請求書(控)や領収書(控)等の検討できる証拠資料が少ないため、様々な角度から調査されます。
また、場合によっては個人の預貯金も含めた資金調査もされます。FAQに税務調査の内容を記載しましたので参考にしてください。
<宗教法人の収益事業>
宗教法人にとって一番多い収益事業は駐車場の経営かと思います。
宗教法人に関係する収益事業をFAQにまとめましたので参考にしてください。
<宗教法人の消費税>
消費税の課税対象となるかどうかの判断基準は、その事業が収益事業となるかどうかの区分によるのではなく、原則として事業として行われる行為が対価性のある資産の譲渡などに当たるかどうかで判断されます。例えば、お布施や玉串料は宗教活動に伴う喜捨金(寄付金)とされ、対価性がないため不課税になります。
消費税の納税義務は、基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合に発生しますが、課税売上高が1,000万円を超えて納税義務が発生する宗教法人はほとんどないと思います。課税対象となる宗教法人は、結婚式場等を併設している神社や寺に限られるかと思います。FAQに消費税の課税、不課税の一覧表を掲載していますので参考にしてください。
<相続セミナーの開催>
現在、宗教法人の行事の場に集まる檀家さん向けに、相続セミナーを開催しております。相続税対策は一部の金持ちは必要ですが、相続対策は誰もが必要な対策です。「身近な相続」と題して認知症問題、不動産の未登記問題、遺留分問題等を取り上げて、檀家さんに情報を提供しています。行事の中の少しばかりの時間を頂ければ、無料でセミナーをいたしますので、気楽に声を掛けてください。
退職金を考えてみませんか
住職や宮司で退職金を準備している方は少ないと思います。
そこで、終身保険を活用した退職金制度を提案したいと思います。
終身保険とは、1.死亡によって死亡保険金が支払われる、いわゆる保障機能と、2.解約返戻金の解約率が高い、いわゆる貯蓄機能に特徴がある保険です。一生涯に亘って死亡保険は保障されるとともに、据置期間が長いほど解約返戻金も増えていきます。
保険の契約形態は下記のとおり、住職個人ではなく宗教法人が加入するものです。
この保険に退職金制度を組み合わせることによって、終身保険の保障機能と貯蓄機能のほかに、
さらに税務上のメリットが加わることになります。
≪契約形態≫
契約者(保険料負担者)→宗教法人
被保険者→住職
保険金受取人→宗教法人
住職が勇退した場合→終身保険の解約返戻金を退職金として住職に支払う
住職が死亡した場合→死亡保険金を死亡退職金として遺族(相続人)に支払う
もともと退職金は税務上優遇されています。
住職の勤続年数が長いと退職所得控除額が退職金を上回るケースが発生し、所得税がゼロになります。
また、不幸にして住職が亡くなった場合、死亡保険金が宗教法人に支払われますが、
その死亡保険金を遺族(相続人)に対する死亡退職金とします。
この死亡退職金は相続財産になりますが、非課税限度額分(500万円*法定相続人の数)
が相続財産から控除されるメリットがあります。
この退職金制度を利用する場合には、退職金規定や責任役員会議事録を作成する必要がありますが、私が作成、提供いたします。